★Amanita phalloides (タマゴテングタケ)
■ 2012年11月22日 撮影 ※重要な注意事項です。 キノコ写真図鑑内で唯一このページのみ 写真の著作権が私ではなくMUZVIT氏にあります。 そのためこのページ内の写真につきましては、このページへの掲載以外の 一切の使用を禁じます。 有償無償に関係無く、直リンク等も禁止とさせていただきます。 特別に著作権者様に許諾をいただき掲載しているものなので、 二次利用希望も許可できませんのでご注意下さい。 2014年に書籍版「oso的キノコ擬人化図鑑」を出版した際にMUZVIT氏に写真提供いただき、 10年経った2024年、氏に掲載許可をいただいたことでついにサイトへの掲載が叶いました。 秋にブナ科広葉樹下に発生する最凶最悪の猛毒菌「卵天狗茸」です。 世界では「毒キノコと言えばコレ」と言わしめる、まさに毒キノコの最高峰。 「Death Cap(死の傘)」の通称が有名で、「Most poisonous fungus(世界で最も有毒なキノコ)」 としてギネス・ワールド・レコーズにも登録されています。 ドクツルタケとシロタマゴテングタケを従える「キノコの猛毒御三家」のリーダー。 日本国内では絶滅状態と言っても過言ではなく、国産の写真が掲載された図鑑は1冊のみ。 撮影者の故袰屋氏に直接問い合わせましたが、撮影後ずっと発見例は無いとのことでした。 そのためその他の国内の図鑑の写真は全て海外のもので、 今回お借りしたこれらの写真もポルトガルのセトゥーバル県産のものです。 ■ 2012年11月22日 撮影 子実体は「条線の無い傘」「つばのある柄」「膜質のつぼ」の猛毒テングタケ属菌三要素を備えます。 傘は最初まんじゅう形から平らに開き、穏やかなオリーブ色なのが特徴です。 あくまでも黄色ではない、緑がかった淡いオリーブ色である点こそが本種の最も重要な特徴です。 そしてこの悪意のない優しい色合いこそが事故を多発させる原因でもあります。 ■ 2012年11月22日 撮影 引っこ抜かれた状態です。柄は太く下方に太まる傾向があり、表面に傘と同色のだんだら模様があります。 ひだは白色、密で柄に対して先述の通り柄には膜質のつばがあり、 基部には他の同属菌よりも遥かに大型の白い膜質のつぼがあります。 もはや毒性については語りだすとネタが尽きないので掻い摘んで説明しますが、 文句無しの世界最強の猛毒菌です。これより上は居ないと思ってください。 毒成分はアマニタトキシン類の他に、本種の名を関するファロトキシン類など複数の毒素を含みます。 この毒素の最大の特徴はRNAポリメラーゼUの阻害であり、 必須タンパク質が合成できなくなることで細胞代謝が完全に停止し、細胞が死滅します。 摂取後短時間で胃腸系の症状が現れ、これはすぐに治まる(偽回復期)のですが、 この間に腸管から吸収された毒素は肝臓や腎臓に蓄積して緩やかに細胞を破壊し、 未治療の場合は多臓器不全でほぼ確実に死亡します。 問題はその含有量の多さで、誇張無しに「1本で一家全滅」レベル。 あまりの毒性の高さと入手のしやすなのために歴史的にも、そして現代でも殺人などに用いられることも。 ■ 2012年11月22日 撮影 コルクガシの森に普通に大発生しています。 本種が厄介なのが、比較的小型で致命的になりづらいシロタマゴテングタケ、 深山に分け入らないと出会いづらいドクツルタケとは異なり、普通にヒトの生活圏に多いことです。 ブナ科広葉樹があれば海外だと普通に発生するため、道路標識的に注意看板があるような国もあります。 ■ 2012年12月10日 撮影 成菌とかわいい幼菌のツーショットです。 テングタケ属菌としてはかなり大型なほうで、どっしりしとした安定感があります。 ■ 2012年12月10日 撮影 幼菌の傘は丸く、表面には繊維状光沢があります。 この何とも言えない優しいオリーブ色が萌え萌えですね。猛毒菌ですけど。 ちなみに本種の種小名「phalloides」ですが、ラテン語で「陰茎に似ている」と言う意味です。 傘が丸いままもう少し柄が伸びるとモロにその形状になるからこその命名だと思うんですが、 傘の丸みが強いのであまり亀頭っぽくは見えないんですけどね・・・卑猥で失礼。 ■ 2014年12月10日 撮影 大群生の様子です。日本在住だと羨ましい光景なのですが、現地の方からすると天然危険物ですね。 余談ですが本種にはなぜか本種の毒成分に抗毒活性のあるアンタマニドと言う成分が含まれています。 だからって食べたら普通に死ぬんですが、実験的に先にマウスに投与しておくと中毒を防げるそうです。 なぜ世界最強の猛毒菌が自身の毒に対抗しうる成分を持っているのか・・・謎ですね。 ■ 2014年12月10日 撮影 とても綺麗に生え揃った群生です。現地にお住まいのMUZVIT氏にお話を伺ったトコロ、 ポルトガルには基本的に日本人が考えるようなキノコ狩りの文化は無いそうで、 たまに観察会的なイベントが開かれる程度なのだそうです。 それならこれだけ身近に発生していても事故率は低そうですね。 ■ 2014年12月10日 撮影 傘を拡大してみました。何でしょう?唯一無二な色合いな気がするんですよね、このオリーブ色。 優しい色合いで、トゲトゲしていない丸みのある外観で、それで居て内に秘めた殺意。 それが心の琴線に触れたからこそ我が家の最初のキノコ擬人化娘3人の1人なんです。 ■ 2014年12月10日 撮影 幼菌の頃はこのように色が濃いものもあります。個体差でしょうか? たまに成菌になっても結構濃いオリーブ色を維持したままの子実体もありますし、 逆に真っ白に近いような子実体も居るようです。やっぱテングタケ属菌を食う時は覚悟しないとですね。 恐らく次にここが更新されるのは自力で撮影できた時でしょう。 果たしてその目標を達成できる日は来るのでしょうか。頑張れ、俺。 |