■Amanita timida var. suouensis (スオウシロオニタケ)
■ 2023年09月03日 撮影 2023年は本種が絶好調で昨年に続きTOP写真差し替えです。 ドングリと落葉で滑りやすい崖っぷちで発見。相変わらず凄い威圧感です。 シイやカシ主体の照葉樹林でたまーに目にするちょっとマイナーなテングタケ属菌。 最初はシロオニタケだと思ったのですが、文献を見て本種だと気付きました。 近年名前が付いたばかりの「周防白鬼茸」です。掲載図鑑が少ないちょっと厄介なヤツ。 ちなみに「スオウ」は山口県の東側、かつての「周防国(すおうのくに)」に由来します。 ササクレシロオニタケとの誤同定が非常に多い種です。ネットで検索してみれば良く分かります。 冷静に見ればつばやササクレの形状、基部、全体的な色合いが全然違うんですけどね。 柄にササクレがあると言うだけでササクレシロオニタケだと安易に判断するのは危険ですよ? ちなみに山口県の地域に由来する名前ですが、普通に西日本に広く分布しています。 ■ 2023年09月03日 撮影 傘はシロオニタケ系らしい白色の傘に錐形のいぼを付けます。 ただ他の種と異なるのはいぼが赤褐色を帯びること。 真っ白ではない種はシロオニ系には結構居ますが、本種はその中でも濃色になるほうです。 むしろ傘全体がほんのり赤褐色を帯びることもあります。 ■ 2023年09月03日 撮影 裏側は本種特有の特徴のオンパレードです。ひだは白色で密、あまり代わり映えしません。 まず注目すべきはつば。永存性で長く下に伸びるのが特徴です。 つばが下に引っ張られたような形状で、裾が広がり、上方向に条線が走ります。 そしてある意味最大の特徴は、大きく膨らんだ基部に錐形突起があることです。 これは傘にあるのと同じ外皮膜の破片なのですが、面白いのは突起先端が下に反ること。 この特徴のせいでササクレシロオニタケと勘違いされることが多いんですよね。 ササクレシロオニタケのササクレは薄っぺらいので全然違うんですけど。 見た目に危なっかしいですが、毒があるとは聞きません。食不適でしょう。 ただ似ているシロオニタケの類には毒キノコもありますので一応赤字で載せておきます。 テングタケ属菌は基本的に毒キノコと思っておくぐらいがちょうど良いんですよ。手を出さぬが吉。 ■ 2007年09月24日 撮影 最初のTOP写真でした。しかし縦構図を撮り忘れ、編集で背景を引き伸ばしていました。 しかし伸ばすにも限界があり、高さ700pxが実現できていなかった種の1つでした。 2020年にTOP写真を任せても良さそうな子実体が撮影できたので差し替えできました。 ■ 2007年09月24日 撮影 うーむ・・・何と美しい立ち姿。この堂々さ、やっぱAmanita良いですね! 柄の上部にかなりしっかりした永存性のつばが確認できます。 でもこの姿だけ見れば、シロオニタケよりもテングタケに近い形状に見えます。 基部が赤褐色を帯び、周囲に突起が輪のように並ぶのも特徴でしょうね。 突起が少しササクレみたいに反り返ってるのはデフォルトなのんでしょうか? ■ 2008年09月20日 撮影 珍しいキノコだと思っていたのですが、改めて歩くと本種はそこら中にいました。 今まで遠目で見てシロオニタケだと思い込み、今まで完全にスルーしていたらしく。 非常に似てはいますが、根元のトゲが下方に反るのが本種の特徴でしょうか。 ササクレシロオニタケにも似ますが、あちらはもっと反りが大きいですね。 ■ 2008年09月20日 撮影 森の中を走る一本道、車の中からでも分かる道路脇の真っ白な異物。白いって良いね! ここまで傘が開けば根元の突起を見なくても本種だと同定する事ができますね。 ■ 2008年09月20日 撮影 一本引っこ抜いてみました。ご覧の通り基部が膨らみ、周囲に独特な突起が並びます。 何よりも注目すべきは柄です。そう、つばの位置が決定的に他の種と違います。 例えばシロオニタケ。傘の直下につばが残るので、明らかに本種とは違います。 傘の表面はシロオニタケの仲間らしく、真っ白の滑らかな面にトゲ状突起を持ちます。 これだけ特徴的な種がつい最近まで不明種扱いだったなんて・・・。信じられません。 ■ 2013年09月22日 撮影 実況撮影初っ端に発見した個体群です。この日はかなりの数が確認できました。 また非常に状態が良く、特にこの特徴的な傘の色合いは久々な気がします。 本種を見るたび思いますが、この伸びたようなつばは他に類を見ませんね。 ■ 2016年09月10日 撮影 久々に見ましたが一目でスオウだと分かりますね。主に基部の形状と色で。 ササクレまでは行かない突起と穏やかな赤みを帯びる感じは本種ならでは。 かつてはオオオニテングタケと見間違ったりしましたが・・・成長しました。 ■ 2020年09月26日 撮影 2016年以降あまり良い子実体に出会えなかった本種、4年後に大発生に出会えました。 夕暮れ時かつ滑る急斜面で撮影が大変でしたが、維持で撮影したのが現在のTOP写真です。 その他にもこんな感じで発生しており、大満足でした。 特徴的なつばの形状と、老成すると傘全体が赤褐色を帯びる様子が良く分かりますね。 ■ 2020年09月26日 撮影 旧TOP写真です。本種はかなり何回もTOP写真を切り替えている印象があります。 毎回見付けるたびに良い雰囲気の子実体に出会っちゃうもんで・・・。 この子実体もキレイだったんですが、単生なのと背が低かったので。 ■ 2020年09月26日 撮影 上から見るとこんな感じで表面の外被膜の破片に結構赤色が乗っているのが分かりますね。 確かにこの雰囲気はササクレシロオニタケっぽいかも知れません。ただ明らかに基部が別物ですけど。 ■ 2020年09月26日 撮影 裏返してみると小型とは言えかなりテングタケの仲間だなって外見をしていますね。 最初はひだの隙間に大量のトビムシが巣食っていて、追い払って撮影してこの状態です。 やっぱかなり粉臭いですね。仮に無毒であっても食用には適さないレベルだと思います。 ■ 2023年09月03日 撮影 昨年も良い写真が撮れたなと喜んでTOP写真を差し替えたんですが、 2023年は間違い無くスオウシロオニタケの当たり年でしたね。 複数のフィールドで状態の良い子実体に多数遭遇し、どれをTOP写真にするか迷いました。 コチラは幼菌。この段階だとまだ肉眼的特徴に乏しいですね。 ■ 2023年09月03日 撮影 単生でしたが過去最大と思われる子実体でした。 なおこの場所はかなりの急斜面で落葉も多いので滑落に注意しての撮影となりました。 ■ 2023年09月03日 撮影 基部の外被膜の破片が脱落していますが、特徴的なつばの形状ですぐ本種だと分かります。 このスラッと下に伸びたような形状のつばですが、 既視感があると思ったらフランス領ポリネシアの核実験のきのこ雲ソックリなんですよね。 有名な写真なので画像検索すると出て来ると思います。 ■ 2023年09月03日 撮影 TOP写真にしようか迷った美しい子実体です。正直甲乙付けがたかったんですが、 基部のトゲの残り具合や裏側の撮りやすさを考慮し、TOP写真のものに軍配が上がりました。 それでもこの写真のスオウも本当に綺麗で、写真撮りまくっちゃいましたね。 ■ 2023年09月03日 撮影 やっぱスオウと言えばこのほんのりアプリコッティーな傘が凄い個性的ですよね。 赤ともオレンジとも違う、中間的な淡い色合いが素敵です。 ■ 2023年09月03日 撮影 裏側はこんな感じです。本種の外被膜の破片は永存性なので脱落せずに長期間残るんですが、 柄の基部のトゲはワリと成熟すると落ちやすいみたいで、こんな感じにツルツルになっていることも。 こうなると基部が単に膨らんでいるだけに見えるので、つばの形状で見分けないとダメです。 |