★Ophiocordyceps sp. (コツブユラギハリタケ)

■ 2024年07月14日 撮影

2016年に地元で発見した時はコメツキムシタケだと思い込んでいた本種。 しかし何年も冬虫夏草を探し、色んな方と色んな場所を訪れる内に違和感に気付きました。 「あれ?君コメツキムシタケと違くない?」と。その正体はワリとレアい「小粒揺針茸」でした。 なので私はここを「揺らぎの竹林」と呼んでおり、 地中深くに埋もれたコメツキムシ類の幼虫から発生します。 以前からTwitterで見かけて「見てみたいな〜」と思っていたのですが、すでに出会ってました

以前からその存在自体は知られていましたが、現在でも未記載種なので種小名がありません。 発見例が多くないのもその理由だと思います。 生態図鑑では京都のみで見付かっているとありますが、実際には全国的に点々と見付かっています。 また古くなった本種にはコメツキヤドリシロツブタケが重複寄生することがあります。


■ 2024年07月14日 撮影

子実体は典型的な針タケ型なんですが、このテのOphiocordyceps属としてはかなり細身なように思います。 子実体は褐色で表面に暗褐色の子嚢殻裸生させます。 ただ和名に「小粒」とあるように、コメツキムシタケなどに比べると子嚢殻が妙に小さいなとは感じますね。


■ 2024年07月14日 撮影

※オンマウスで変化します

もうこの段階で何度か掘り取りに挑戦していたので知っていたんですが、マジで地獄です。 私はこの場所を「揺らぎの竹林」と呼んでいると先述しましたが、 竹林らしく地表付近に微細なタケの根が層状に絡み合っており、子実体はその隙間を縫っています。 またタケの根満載層を抜けるとその下は南西諸島のような粘土質なんです。 そのため掘り採り難易度はメタクソ高いんですわ。マジでもうやりたくない・・・。


■ 2024年07月14日 撮影

愛用の山菜掘りナイフが無かったら多分勝てませんでしたよ。何とか掘り採りに成功しました。 本種は和名に「揺らぎ」とあるように地上部も地下部もグニャグニャなんです。 地下部もほぼ黒色に近いため視認しづらく、伸びている先を探すのも大変! そしてこの長さです。入るタッパーが無いレベルですからね。


■ 2024年07月14日 撮影

この宿主を見た時はガッツポーズでした。実は今までここまで傷んでいない宿主は見たこと無かったんです。 断裂してしまったのは自分のミスですが、本種は複数年成長するため、 ハズレを引くと栄養を使い切ってボロボロの宿主しか出て来ないんですもん。


■ 2024年07月13日 撮影

実は2日連続でこの「揺らぎの竹林」に来ていました。 これは前日にしんや氏が発見するも「こんなの掘れん!」と採取を投げた子実体です。 今回はコレも掘ってみることにしました。 別個体は区切って別順で掲載するんですが、同時に2個体観察したので一緒の流れで載せます。


■ 2024年07月14日 撮影

本種の結実部ですが、子嚢殻の密度に個体差があります。 パラパラと間隔を空けて形成されることもあれば、隙間なくみっちり形成されることもあります。 ただ共通してストローマの先端付近に集中する傾向はあります。


■ 2024年07月14日 撮影

※オンマウスで変化します

断面作成してみたんですが、本種にしてはかなり浅かったです。 しかも枯れたタケの切り株周辺に発生していたため根が枯れて邪魔者が居なかったのもデカい。 凄い短時間でサクッと宿主まで辿り着くことができました。


■ 2024年07月14日 撮影

断面作成時にもう分かってたんですが、良く見ると折れてはいますが地面スレスレに分岐した跡があり、 残念ながら2年目の宿主でした。そのため栄養を吸われて宿主がかなり萎んでいます。 それでも尾部がしっかり残っているので採取し、その後TOP写真の子実体で完全勝利した感じです。


■ 2024年07月14日 撮影

もうそろそろこのページを見ている方はお気付きでしょうが、ページが縦長になりますのでご了承ください。 採取した2個体を黒バック撮影してみました。赤い線が地面の高さになるよう揃えてみました。 こうして見ると地下部が非常に長いことと俺の苦労が良く分かると思います。


■ 2024年07月14日 撮影

子実体は典型的な針タケ型で、見た目を表現するならヒョロいコメツキムシタケです。 この年はちゃんとしたコメツキムシタケも観察できたのでますますそう思うようになりました。


■ 2024年07月14日 撮影

これ左がコツブユラギハリタケ右がコメツキムシタケを同倍率で撮影したものです。 どちらもストローマは褐色暗褐色の子嚢殻を裸生させるのは共通しているんですが、 同倍率だからこそ分かるコツブユラギハリタケの子嚢殻の小ささよ。 確かにこれは同種ではありませんわ・・・。


■ 2024年07月14日 撮影

宿主は先述の通りコメツキムシの幼虫ですが、今回は尾部の構造がしっかり観察出来る状態で採取できました。 左が2年目突入の宿主で、右が感染1年目の宿主です。栄養の使われ具合が良く分かりますね。 ここで注目すべきは宿主の体位です。エロい意味ではなく。 ここまで紹介した断面写真からも分かりますが、本種は必ずと言っても良いレベルで宿主が縦なのです。 甲虫の幼虫から発生する冬虫夏草は地表や材の面に対して水平になっているのが普通なんですが、 本種の宿主のコメツキムシは地面に突き刺さるように縦になって頭部が上を向いているのです。 これがこのコメツキムシの生態なのでしょうが、本種を同定する上で重要なポイントであると思われます。


■ 2024年07月14日 撮影

そして今回ようやく確認できた宿主の尾部です。キマワリのように少し窪地になっており、 先端は二股、周囲には背の低いトゲがあります。 ツヤハダコメツキ属だと思っていましたが、どうもシモフリコメツキ属だったようです。 もう1つ判明したことはコメツキムシタケの宿主とは別種であると言うこと。 確かに縦になっていると言う生態からもその可能性はありましたが、確証を持てたのはデカいですね。

発見例が少ないので、詳細は不明。薬用等の利用価値は無しのようです。 発見例は比較的少ないようで、レア度で言えばまぁまぁ高い種みたいですね。 やはりまずは種小名が決まって欲しいトコロ。今後の研究が期待される冬虫夏草です。

■ 2016年09月17日 撮影

初発見は2016年。地元フィールドで見付け、コメツキムシタケと同定して掲載していました。 しかし虫草祭や展示会、他の方のフィールドでコメツキムシタケなる冬虫夏草を見るにつれ、 違和感がどんどん育って行きました。 そしてTwitterにて疑問を呟いたところ、ベテラン虫草屋さまより一言、 「コツブユラギハリタケで良さそうですね」とのリプを頂きました。


■ 2016年09月17日 撮影

一見すると木の根にしか見えませんが、拡大すると子嚢殻が沢山! 子嚢殻は暗褐色裸生。ストローマの先端付近に集中することが多いです。 またコメツキムシタケは子嚢殻が縦に並ぶ傾向がありますが、本種にはそれは見られません。


■ 2016年09月17日 撮影

※オンマウスで変化します

以前コロモコメツキムシタケを掘った時は浅い場所に居てくれた宿主。 本種は全然デレてくれません。掘り取りに1時間はかかったでしょうか。 ただ宿主が深い場所に居ることが多いと言うのは本種の特徴の1つのようです。 マウスカーソルを合わせると地下部の構造が強調されますが、鬼畜ですよコレ。


■ 2016年09月17日 撮影

良く分からないのでクリーニングした物を白背景で撮影してみました。 こうして見ると本当に先端に集中して子嚢殻が形成されているのが良く分かりますね。 子実体に栄養を吸い尽くされ、宿主は外骨格だけになっていました。 他の冬虫夏草でもそうですが、古くなると宿主はボロボロになりますね。 特に複数年継続成長する種は2年目以降になると栄養を吸い尽くしてスカスカになってます。


■ 2016年09月17日 撮影

黒背景で結実部を拡大してみました。子実体は暗褐色で太針型。ほとんど黒に近い色合いです。 結実部と柄の境界は不鮮明で、子嚢殻の密度が変化して行く感じ。


■ 2016年09月17日 撮影

表面に黒色の子嚢殻を裸生させます。ここだけ見るとコメツキムシタケっぽいかな? 同定には胞子を見る必要があるのですが、残念ながらこの時は胞子の射出はさせられませんでした。 この子嚢殻のしぼみ具合を見た感じ、やはり少し遅かったようです。

■ 2016年09月22日 撮影

初発見から数日後、同じフィールドを訪れてみると、何とレアキノコのソライロタケが大発生! 大興奮で撮影しまくり、帰宅して写真整理をしていると、写真の中に不自然なものが紛れ込んでいました。 古い子実体の隣に重複寄生を受けた古い子実体・・・これコツブユラギハリタケじゃん!

■ 2017年07月29日 撮影

まだ出始めの幼菌の段階から定点観察していた子実体が結実を開始しました。 ここから定点観察を開始。蚊の猛攻に耐えながら足繁く通うことになります。


■ 2017年08月11日 撮影

7月の段階では辛うじて出来ていた子嚢殻がかなり目立って来ました!


■ 2017年09月03日 撮影

最終的にはこんな感じになりました。子嚢殻の密度が高くなっていますね。 残念ながらまたしても時期を見誤り、宿主はボロボロになっていました。 どうも浅い場所に宿主が居るコロモとは違って本種は状態が見極められないようです。


■ 2017年09月03日 撮影

なので採取はせずに野外撮影で止めておくことになりました。 子嚢殻は昨年のものよりは新しいですが、それでもすでに胞子噴出後です。 やはり採取のタイミングが掴めない・・・いつかリベンジせねばなりませんね。

■ 2023年07月08日 撮影

しんや氏をハマキムシイトハリタケの発生坪にご案内するオフを開催! そこで最後に訪れたこのフィールド。2017年以来、6年振りの探索となりました。 出るか出ないかは賭けでしたが、無事それぞれ自力発見することができました。 6年振りの再発見と言うことで、かなり安定して発生していたようですね。


■ 2023年07月08日 撮影

非常に状態の良い子実体ですね。結実部に子嚢殻がビッシリ! ここまで密度が高いと針タケ型に見えませんね。 でも良く見ると裸生子嚢殻が密集しているだけです。


■ 2023年07月08日 撮影

今回は加工しなくても地下部を目で負えますね。 本種は地下部が複雑なのもあるのですが、とにかくタケの根が邪魔でした。 ニッパーで少しずつ根を切りながらの断面作成は困難を極めました。


■ 2023年07月08日 撮影

この子実体はまだ1年目なので宿主に十分な栄養が残っているようで、宿主の状態は良かったです。 ただ採取しようと思ったら尾部から3体節分ほど消失してしまっていました。 この場所は土が粘土質なので宿主に強烈に絡みついており、それが断裂に繋がった可能性があります。 とにかくこれで属の同定が困難になってしまったため、翌週にリベンジに向かった経緯があります。


■ 2023年07月15日 撮影

胞子採取に成功したため、ようやくクリーニングして黒バック撮影できました。 この凄まじい長さ・・・地下部の揺らぎ具合がパないですね。 この子実体はこれでも地上部は素直に伸びてくれているんですよ?


■ 2023年07月15日 撮影

結実部を拡大してみました。裸生子嚢殻の密生具合が素晴らしいですね。 この状態の良さは1年目だからこその可能性があります。 ここまで子嚢殻が多いと太針型にも見えますね。


■ 2023年07月15日 撮影

結実部をもっと拡大してみました。ちゃんと子嚢殻1つ1つが分離しているのが分かります。 また子嚢殻が丸くて小型なのも結構コメツキムシタケとは異なりますね。


■ 2023年07月15日 撮影

宿主の状態は良いだけに、尾部が欠損してしまったのが悔やまれます。 コメツキムシの仲間はどの属かを判定するのに尾部の形状確認が必須なんです。 それを喪失してしまったのが本当に悔やまれます。これは1年もの間私を苦しめることに・・・。 2024年にリベンジ成功するまで、ずっと頭の中に引っかかってましたからね。

■ 2023年07月08日 撮影

残り時間が短い中でしんや氏が発見した子実体です。 良い感じに揺らいでいる本種らしい子実体ですね。 コレも古い子実体の残骸が残っており、複数年継続発生は本種では普通のようです。


■ 2023年07月08日 撮影

私が発見した子実体と比べると子嚢殻がまばらですね。 これやっぱり1年目で栄養状態が良いほうが子嚢殻が多く作られる可能性がありますね。 TOP写真に使用した子実体も新しい結実部に子嚢殻があまり出来ていませんでしたし。

■ 2023年07月15日 撮影

旧TOP写真です。しんや氏とのオフ会でこの場所が大発生地「揺らぎの竹林」であることが判明。 その翌週に再度確認しに行った際に撮影したものです。この場所の本種の安定感はパないですね。


■ 2023年07月15日 撮影

VサインしててちょっとフフッとなったのでTOP写真はコイツに決定しました。 本当は胞子までしっかり観察しているので、TOPのままでも良かったまであるんですけど、宿主がねぇ・・・。 良く見るとジャノヒゲの葉に菌糸が張り、子実体が倒れないよう固定していました。賢い!


■ 2023年07月15日 撮影

何で二股に別れてるんだろうと思いましたが、拡大したらその理由が判明。 左に見えるストローマは1年前のもので、途中から新しいストローマを伸ばしていました。 こんな細い冬虫夏草でもこの性質を持ってる種が居るんですね。


■ 2023年07月15日 撮影

※オンマウスで変化します

断面を作成してみましたが、メチャクチャ苦戦しました。炎天下で1時間は鬼畜ですわ。 地下部が暗色のため、マウスを乗せると見やすいように編集しました。 本種は「ユラギ」の和名に相応しく、地上部も地下部もブレまくる性質があります。 断面作成と堀り採り難易度が跳ね上がるので勘弁してもらいたいですね。


■ 2023年07月15日 撮影

宿主は地中生のコメツキムシタケの幼虫です。 実は1週間前にしんや氏と探索した際は尾部が折れてしまい、宿主の同定に至りませんでした。 今回は2年目と言うことで宿主が朽ちる寸前でしたが、尾部の外骨格が残っていました。 ただ半分以上が外骨格のみギリ残っている状態だったため、慎重に採取しました。


■ 2023年07月15日 撮影

帰宅後に黒バック撮影しました。いやー長い長い。納まるタッパーが無くて困りました。 途中から新しくストローマが発生している様子が良く分かりますね。 長いストローマに反して子嚢殻が先端部に集中する様子も良く分かりますね。


■ 2023年07月15日 撮影

結実部も和名通りの揺らぎっぷり。微細な裸生子嚢殻が良いですねぇ。 右のストローマは1年前のもののため、子嚢殻は壊れて先端に大きな穴が開いています。 あまりこう言う針タケ型の冬虫夏草で越年生ってあんまり想像できないんですけどね。


■ 2023年07月15日 撮影

土に覆われていた宿主をクリーニングしました。 70%近くは中身が朽ち果てて外骨格のみになっていたので壊さないよう慎重を期しました。 今回辛うじて尾部の形状が二股であることが確認できたので、 ツヤハダコメツキ属が宿主となっている可能性が高そうです。 ただここまで傷んでいると断定はできず、その結果2024年に宿主が確認できたものにTOPを差し替えた感じです。


■ 2023年07月15日 撮影

子嚢殻を切り出してみました。高さは大きいものでも300μm強。 図鑑の表記では最大310μmとのことなので、ほぼ表記通りのサイズですね。 そもそもコメツキムシタケが480〜580μmとされており、 自分も子実体自体は見ているので、本種はそれよりはかなり小さい印象を受けます。


■ 2023年07月15日 撮影

子嚢を切り出すことができました。180μmほどとかなり短いですね。


■ 2023年07月15日 撮影

子嚢胞子も無事観察成功。短い糸状で長いものでも120μmほどしかありません。 コメツキムシタケが短くても150μmなので、「コメツキムシタケより短い」と言う記載通りです。 また隔壁は不明瞭と書かれていますが、確かに隔壁が全然確認できません。


■ 2023年07月15日 撮影

試しにメルツァー試薬で染色して隔壁を確認しようとしましてたが、それでも見えません。 本種の隔壁は図鑑でも不明瞭と書かれており、観察には工夫が要るかも知れませんね。 これについては2024年にバッチリリベンジ成功しているので、後述しますね。

■ 2023年07月15日 撮影

1年目のほうが子嚢殻が沢山出来る説を裏付けるような子実体も見付かりました。 左に倒れた古い子実体には子嚢殻がビッシリですが、新しい子実体には子嚢殻がほとんどありません。 掘ってみると宿主はボロボロ。やっぱ可能性ありそうですね。

■ 2024年07月13日 撮影

本種は幼菌時、先端の成長点周辺が白っぽいのでライトの光を良く反射するため見付けやすいです。 Ophiocordyceps属菌らしく紫色っぽいのも良いですね。

■ 2023年07月13日 撮影

かなり太めの子実体を発見しました。黒く見えるのが子嚢殻です。 こんな感じで全体的に子嚢殻が出来るものはまた雰囲気が違うんですよね。 で、これ掘ろうとして諦めたんですが、発生地点は子実体から5cm横でした。 本種は一旦地表に出てから地面を這い、暫く横に伸びてから上に伸びます。 恐らく子実体の転倒防止なのでしょうが、コレやられると余計に栄養を使ってしまい、 感染1年目であっても宿主が栄養を使いすぎてボロってるんですよね。 なので本種を採取する場合は子実体の直下に潜っているものを選ぶように。

■ 2023年07月13日 撮影

先端に子嚢殻が集中すると言う本種の特徴が顕著に現れた子実体です。 先端に微細な陸生貝類が居り、それをダニか何かが襲っている模様。場所を選ぼうね?

■ 2024年07月21日 撮影

宿主も無事判明した本種ですが、もう1つ達成できていない目標がありました。 それが胞子隔壁の確認です。以前メルツァー試薬を用いて挑戦しましたが、 何度やっても成功しませんでした。そこで今回は少し時間を空けて胞子観察専用に採取することに。


■ 2024年07月21日 撮影

以前採取したものの子嚢殻は300μmほどの大きさで先端も尖っていませんでしたが、 今回は大きさこそ同じですがちゃんと卵型で、これが本来の子嚢殻の大きさなのでしょう。 子嚢殻を形作る殻はかなり頑丈なようですね。


■ 2024年07月22日 撮影

胞子観察に成功したので子嚢殻をぶっ潰して子嚢も観察してみました。 そう言えば撮影していなかったですね。長さは200μm前後で、内部には子嚢胞子がみっちり。


■ 2024年07月22日 撮影

普通に染色してもダメだと言うことでプランBを試してみました。 最初に子嚢殻の状態で水酸化カリウム水溶液で処理します。 その後子嚢殻を潰してメルツァー試薬で染めるのですが、KOHが残っていると結晶化してしまうため、 しっかりと水で希釈してからメルツァー試薬で染色しました。 すると通常状態では見えなかった隔壁がしっかり確認できました。 ただ隔壁部以外でも切れているので、基本的に二次胞子には分裂しないのでしょうね。

■ 2024年09月07日 撮影

実はこれ7月12日にしんや氏が来訪した際に「掘れない!」と諦めた子実体のすぐ近くにあった幼菌だったもの。 2ヶ月ほど経って再訪してみると綺麗に結実していました。


■ 2024年09月07日 撮影

結実部を拡大してみましたが、子嚢殻にハリが無いので恐らくもう役目を終えていると思われます。 てことは子嚢殻が全く無い状態から成熟まで1ヶ月半ってトコですかね? ただ同時に子嚢殻が全く出来ていない幼菌も見付かったので良く分かりません。

■ 2024年09月22日 撮影

ちなみに再訪した理由は本種に重複寄生するコメツキヤドリシロツブタケを探すこと。 古い子実体が増えて来ているので、そろそろ動き出す頃ですからね。 しかしそんな時期でもまだ良い状態の結実部を持つ子実体がチラホラ。 複数年成長する種ですし、発生のタイミングがあまり揃ってない可能性ありますね。
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