★Puccinia graminis (ムギ黒さび病菌)

■ 2020年06月13日 撮影

ことの発端は謎のGymnosporangium属菌を発見した公園脇。 プライマリホストのバラ科植物を探していた時にメギの葉にさび病を発見しました。 その時は正体が分かりませんでしたが、帰宅後にヘビノボラズなどのメギ類を中間宿主とする 異種寄生性さび病は1種のみであることが発覚。 その結果、本種が非常に凶悪な植物寄生菌類「ムギ黒さび病菌」であることを知りました。 しかしその後、周囲を探すも2019年はムギ類を発見できず、そのまま年を終えてしまいました。 リベンジを誓った2020年、ついにムギ類への感染を見付けることができました!

Stem rust (茎の錆)」の名で恐れられている最凶最悪のムギ類の病害菌。 コムギを主食とする地域で本種が猛威を振るうと作物の収量が減り、人類の食生活を脅かします。 一説では世界のコムギの約90%が本菌によって消滅しうるとさえ考察されています。 またローマ帝国崩壊の原因は長雨による本種の大発生が原因の1つとする説があります。 近年では薬剤に耐性を持つ「Ug99」と言う系統が出現し、現在進行系で疫学者さんが戦っています。 発生量や駆除の難しさ、発病時の植物へのダメージなど、どれをとっても危険度MAXです。

ちなみに本種には数多くの亜種や変種、品種が存在し、それぞれ宿主に特異性が見られるとされています。 ただそれらの多くはシノニム(別名)扱いとされているため、本種は種小名のみで掲載しました。


■ 2020年06月13日 撮影

ずっと大型のムギ類を探していたのですが、目指すものは意外にも足元に普通に居ました。 しかし1週間前の6月6日に黄色い夏胞子堆の発生を確認。 宿主は小型のムギの仲間、トボシガラヤマヌカボ。 共にイネ科です。まぁそもそも本種の種小名が「イネ科の」と言う意味ですからね。 それから1週間経ったのですが、あまりの症状の変化に驚かされました。


■ 2020年06月13日 撮影

一見すると黒く枯れただけに見えますが、マクロレンズで撮影するとそうではないことが分かります。 何と緑色の茎の表皮が縦方向に裂けて、その下から黒い塊が見えているのです。 これこそ本種が「」と表現される理由です。


■ 2020年06月13日 撮影

茎が傷めば当然ながら植物の成長に支障を来します。例を挙げると・・・。

・成長や実りに必要な栄養素が菌に奪わ収量が減少する。
・表皮が破壊されることで乾燥他種の菌の感染が起きる。
・茎が痛むことで転倒や感染部位から上の枯死を招く。

など、まぁ百害あって一利無しですわな。


■ 2020年06月13日 撮影

本種が「Stem rust (の錆)」と呼ばれる理由はコレ。 当然葉にも病徴は現れますが、本種は茎へのダメージが大きいのです。 大きな木で例えるならば、主幹を傷付けるのと枝葉を傷付けるの、どっちが木をより弱らせるでしょう。 それを考えれば、こんな細い草本で茎を冒されるダメージの大きさは容易に想像できるかと思います。


■ 2020年06月13日 撮影

我が家のマクロレンズが本気を出してくれました。 高倍率で撮影すると、黒い塊に見えたものはまるでキャビアのように粒状になっていたのです。 コレ何と本種の冬胞子堆!粒1つ1つが冬胞子なのです。 ナシ赤星病菌で言うところのビャクシンさび病菌の世代に該当します。 夏胞子堆が形成されてから何と1週間で冬胞子世代に移行したのです。 このサイクルの速さも本種が病害菌として恐れられる原因の1つなのでしょう。

そしてここからの顕微鏡観察は感動の連続でした。


■ 2020年06月13日 撮影

茎をスライスして低倍率で顕微鏡観察してみると、驚きの光景が目の前に。 亀裂のように見えていたのは冬胞子が間隔を空けて形成されていたためだったのですね。 この褐色の部分が本種の冬胞子堆です。


■ 2020年06月13日 撮影

冬胞子堆を拡大してみました。顕微鏡で見ても驚きの黒さ。


■ 2020年06月13日 撮影

ちょっと暗すぎるのでもっと薄く切れた部分で観察してみました。 不思議と直下に葉緑素を持つ組織が残っています。 その部分から茎の外側に向かって大量の冬胞子が形成されています。 マクロレンズで観察した時に見えていたあのキャビアのようなつぶつぶは冬胞子の先端だったのですね。


■ 2020年06月13日 撮影

冬胞子を切り出してみました。色は暗褐色2胞子性。 この「冬胞子が2胞子性」と言うのはPuccinia属やGymnosporangium属に見られる特徴です。 ただ本種は面白いことに先端の細胞が鈍頭で潰れているのが特徴。 そのためまるでマラカスみたいな見た目になっています。


■ 2020年06月13日 撮影

油浸対物レンズで観察した本種の冬胞子です。 これが発芽して担子器を形成し、そこから担子胞子が飛散、中間宿主のメギに感染します。


■ 2020年06月13日 撮影

油浸対物レンズで最大倍率で撮影。これだけ見ると結構カッコイイ胞子なんですけどね。 でも気になるのは異様に厚膜だと言うこと。明らかにこれは「耐える」ことが目的の構造ですね。 本種は植物体が枯死しても冬胞子の状態で長期間生存(越冬)することができます。 これが翌年春に発芽して担子胞子を形成します。何と言う複雑な生活環。

食える食えないとかの問題じゃなく、ヒトの食料を奪う恐ろしい菌類です。 学名を含めてtwitterで呟くと疫学者さんに補足されるほど、今なお脅威として君臨しています。 しかしこれはある意味で自然な流れと言えます。 自然界は特定の種が大発生すると、その天敵が同時に大発生して数を抑制する機能を持ちます。 ガの幼虫の大発生に続いてサナギタケが大発生することで食害から植物を守ると言う話と同じですね。 ムギ黒さび病菌からすればヒトの作った麦畑はムギの異常発生に他ならないワケです。 その自然のシステムに逆らおうとしているのですから、苦戦は必至は必然と言うことですね。

■ 2019年05月19日 撮影

初発見時はトゲがあるのでボケだなと思っていました。アホです。 すぐ隣のカイヅカイブキにGymnosporangium属の冬胞子堆があったので余計に思い込んじゃいました。 しかしどう考えてもこのさび胞子堆はプクキニア属のものなので頭を抱えていました。


■ 2019年05月19日 撮影

葉の裏にかなりの発生が見られます。 感染部位は大きく見えますが、メギは葉が小さいので実際には直系2〜3mmです。


■ 2019年05月19日 撮影

一目見て今まで見てきたプクキニア属ではないと確信しました。 だってどう見ても色味が淡いんですよ。 今まで見てきたさび胞子はもっと鮮やかなオレンジ色だったんです。 気になって葉を持ち帰り、じっくり観察することにしました。


■ 2019年05月19日 撮影

持ち帰った別の葉を黒バック撮影してみました。 何でしょう、感染部位やさび胞子堆が凄く整った感じなので見ていて清潔感すら感じますね。 感染部位も不規則な形状にならず、肥大も大人しいのでとても美しいです。


■ 2019年05月19日 撮影

これが本種のさび胞子堆です。 さび胞子堆は盃状で、内部には淡黄色のさび胞子が詰まっています。 さび胞子堆の外側は透明な護膜細胞でできており、周囲が外側に反り返るように崩壊します。 この状態はまるで無数の花が咲いたかのような光景です。 病斑部中央に見られる黄褐色のつぶつぶは開く前の未成熟なさび胞子堆です。


■ 2019年05月19日 撮影

さび胞子を顕微鏡観察してみました。やはり全体的に色が淡いですね。


■ 2019年05月19日 撮影

さび胞子は球形〜長楕円形で黄色の内包物の外側を無色の膜で覆われている構造。 顕微鏡で見てもやはり胞子の色が少し淡いと言うか黄色寄りな印象ですね。 他の同属菌の胞子と似て膜の表面に微細なとげが見られます。 また胞子の直径のワリに外側の無色の膜が分厚いように見えます。

■ 2019年05月19日 撮影

個人的にはさび胞子堆の感じが一番好きなんですけどねぇ。 基本的に本属菌の胞子はどの世代も大概ド派手な色調なので、落ち着いた色合いは好きです。

■ 2019年06月01日 撮影

半月ほど経って再度訪れた際に、すぐ近くに比較的大きなメギを発見。 案の定と言うか見覚えのあるさび胞子堆が確認できました。そして・・・。


■ 2019年06月01日 撮影

凄い感染力です!木全体に感染部位が見られます。 前回は黄色い病斑でしたが、今回は大きな赤い病斑になっていてビックリ。 これが本来のメギ側の症状だったようです。5月に見たのはまだまだ序の口だった模様。


■ 2019年06月01日 撮影

遠目でも分かるほどにメギの葉に赤い病斑が形成されています。 やっぱりナシ赤星病を連想させますね。


■ 2019年06月01日 撮影

発生状況はこんな感じで、多くの葉に発生が見られます。 この後も数回に分けて探索を行ったのですが、ムギ類が見付けられなかったんですよね。 この頃は近くに大型のムギ類の小群生があると予想していて、まさか足元に居るとは思わなんだもので。


■ 2019年06月01日 撮影

病斑は非常に鮮やかな赤色で、見るだけなら美しいとさえ思えます。 他のプクキニア属の菌えいと同じく感染部が肥大します。 精子器は全然目立ちません。


■ 2019年06月01日 撮影

葉をめくってみると病斑の裏側に前よりも色濃いさび胞子堆が出来ていました。 初掲載時はメギ側の症状しか見てなかったので、主たるムギ側が載せられて一安心。 あとはやっぱり「黒さび」の由来でもある冬胞子堆を見ないとですね。

■ 2020年05月30日 撮影

2020年分の日付を見れば私の本気度がお分かりになるかと。 絶対にムギ類を見付けてやると意気込んでいた甲斐があって、この光景に辿り着きました。 メギの背後に見えるのはトボシガラの穂ここで初めてムギ類の存在に気付きました。 しかしこの段階では細い柄の夏胞子には気が付きませんでした。 ちなみに拡大すると夏胞子堆の形成初期が多数写っています。チクショウ!


■ 2020年05月30日 撮影

メギへの感染も相変わらず中々のもの。 さび胞子堆は古いものが目立つので、コチラはシーズンオフの模様。


■ 2020年05月30日 撮影

傷んださび胞子堆が多い中で比較的綺麗なものを探して撮影。 本来であればさび胞子世代が主たる病害として取り上げられることが多いです。 しかし本種の場合は中間宿主的な夏胞子世代と冬胞子世代がメインになるのが面白いです。


■ 2020年05月30日 撮影

大きな病斑があったので裏返してみると、傷んだ病斑部に少しさび胞子堆が残っていました。 病斑部は役目を終えると枯死するため、葉にダメージが残ります。 症状が酷いと植物体にダメージはありますが、メギは葉が多く比較的丈夫なようです。

■ 2020年06月06日 撮影

ムギ類への感染が初めて確認できたのはこの日。メギへの感染を見てから1年越しの発見でした。 ずっと大型のムギを探していたので完全に見落としていました。


■ 2020年06月06日 撮影

詳しくないですが、トボシガラにヤマヌカボが混ざる感じかな?共に本種の宿主として知られる草本です。 この2種は普通にその辺に生えている雑草ですが、明らかに群生が全体的に黄色っぽいです。


■ 2020年06月06日 撮影

発見のキッカケはこの光景。手前が中間宿主のメギの低木、奥がムギ類の群生です。 これだけ近距離に居れば、そりゃ宿主交代しやすいワケですよ。


■ 2020年06月06日 撮影

視線を落としてムギ類の群落を覗いてみると、その被害の状況が見えて来ます。 細い茎が黄色く変色しています。これがムギ類への感染初期の症状です。


■ 2020年06月06日 撮影

さて、ここまで説明して来て気になった方も多いのでは?「どこが黒いんだ?」と。 見た目的にはムギ赤さび病のほうがまだ暗色ですからね。でもそれはこれが夏胞子堆だからです。 「黒」と言われるのは暗色の冬胞子堆であり、この夏胞子堆の時期を過ぎた頃に形成されます。 ここから放たれる夏胞子はムギ類に再度感染し、ムギ側の被害を拡大させます。


■ 2020年06月06日 撮影

これは茎が黒っぽくなっていますが、冬胞子堆ではありません。 恐らく夏胞子堆の形成によって植物体が枯死しかけているものと思われます。


■ 2020年06月06日 撮影

驚いたのは夏胞子が非常に黄色いことです。 さび胞子も結構淡い色合いでしたが、それと同じなのか・・・は知りませんが明らかに淡い色合いです。 野外で見た時は黄色と言うか薄黄色に見えましたからね。 特に直前でムギ赤さび病菌の夏胞子堆を見ていただけに余計にそう感じました。


■ 2020年06月06日 撮影

帰宅後に黒バック撮影した夏胞子堆に覆われたヤマヌカボの茎です。 今まで何種類か夏胞子堆を見てきましたが、その中でもダントツで黄色いですね。 にしてもここから1週間で冬胞子世代まで移行するとは思いませんでしたよ。


■ 2020年06月06日 撮影

マクロレンズで病徴部を思いっ切り拡大してみました。 細い茎を持つ種だからかも知れませんが、茎に無数の亀裂が走っています。 夏胞子堆を形成する際にヒビ割れてしまったのでしょう。 これでは必要以上に水分が蒸発し、他の菌による感染症にも弱くなります。


■ 2020年06月06日 撮影

夏胞子を顕微鏡観察してみました。明るい色合いに見えるのは当然、色素が少ないですね。 夏胞子は何種類かのさび病で観察しましたが、間違い無く今までで一番美しいと思います。


■ 2020年06月06日 撮影

油浸対物レンズで撮影した夏胞子です。いやぁ魅力的ですねぇ。 色が淡い理由は有色の内包部が少ないため透明な部分が多いからだったんですね。 形状は卵形で独特な表面構造をしています。


■ 2020年06月06日 撮影

※オンマウスで変化します

夏胞子を通常ピントと深度合成(オンマウス)で表示してみました。 輪郭からも何となく分かりますが、胞子の表面にはまばらなとげが生えています。 密生するわけでもなく一定間隔で生えているトゲはまるで重ち・・・いや、ドドリ・・・。

■ 2020年05月30日 撮影

奥に見えるメギとのツーショットです。この相関関係には面白いエピソードがあります。 本種の異種寄生性が判明したのは1700年代に入ってからです。 ですがなぜか1660年にフランスでメギを禁止する法律が作られているのです。 これは農家が経験則で以前からその関係性に気付いていたためで、これ地味に凄いことなんですよ。


■ 2020年05月30日 撮影

夏胞子堆の周囲が黒く枯死してしまっています。 これがメギと関係していると気付くのはまさに「コロンブスのたまご」のお話。 一切の科学的根拠無く正体を暴いたのは、 普段から農業に携わる人の鍛えられた観察眼だったのでしょう。恐れ入ります。 そしてこの夏胞子堆から黒い冬胞子堆が形成されるまでで1周ですね。

■ 2021年03月06日 撮影

まだ寒さが残る3月初め。厚着で山を登った理由は昨年6月に訪れたこの場所へ来るため。 メギの木はまだ葉を出していませんでしたが、目的は周囲の地面にあります。 そろそろヤツが起き出すと予想しての行動でした。


■ 2021年03月06日 撮影

探したのは昨年の麦わらです。 同じ年に採取した冬胞子堆は低温に曝しても乾燥に曝しても全く発芽しませんでした。 そこで考えたのは四季を経験させる必要があるのえはないかと言う予想。 と言うことで十分に夏の暑さと冬の寒さ、乾燥と湿潤を経験した冬胞子堆を採取しました。 それを水分を多く含んだキッチンペーパーに置いておきました。


■ 2021年03月07日 撮影

すると翌日早速変化が!何をやっても発芽しなかった冬胞子堆から発芽管が伸びて来たのです! しかし伸びるだけで担子器を作る様子がありません。実はこれ最初からずっと水封状態で観察したのです。 なので担子器形成は空気中であることが条件だと考えました。


■ 2021年03月07日 撮影

予感は的中!高湿度のケース内で放置した後に水封して顕微鏡観察すると、担子器形成が見られました。


■ 2021年03月07日 撮影

分かりやすいように切り出してみました。 発芽管に尖った担子器小柄が形成されています。 他のサビキン目でも見た光景ですが、論文で見たこの光景が目の前で見れて感動です!


■ 2021年03月07日 撮影

そしてさらに時間を置くとついに担子胞子形成が始まりました。

この辺りで何となくですが、時間経過が必要だった理由の1つは冬胞子先端の劣化ではないかと感じ始めました。 以前発芽しなかった冬胞子は先端が非常に厚膜で、このページの上でも「耐久性」についてコメントしていました。 しかし発芽している冬胞子はどれも先端が物理的にダメージを受けているのです。 植物の種子でも種皮を傷付けないと発芽しない種があるように、本種も劣化で環境の変化を正確に測っているのかも知れません。


■ 2021年03月07日 撮影

ちなみに拡大するとこんな感じ。担子菌類なんだなぁと実感できます。


■ 2021年03月07日 撮影

やっとこれで全ての世代の胞子を網羅することができました。 これが待ち望んだムギ黒さび秒菌の担子胞子です。 形状はやや不定で、楕円形〜紡錘形。全体的に有色の内包物が見られます。 中央付近が淡色に見えるのは核によって内包物が押し退けられているためですね。 ついに念願叶ったり!


■ 2021年03月07日 撮影

オマケで冬胞子堆をマクロ撮影してみました。 昨年の冬胞子堆の形成直後に撮影したものでは細胞の先端がキャビアのようにハッキリ見えていました。 しかし越冬した状態では先端が傷んで粗面になっています。

■ 2021年04月18日 撮影

twitterにて「全世代制覇!」と投稿したら「精子見てないじゃん」とご指摘を頂きました。 個人的には今まで見て来た4種類で「胞子」としてはコンプだと思っていました。 が、ンなこと言われたら黙ってられねぇのがosoと言う人なのです。


■ 2021年04月18日 撮影

前回訪問時から1ヶ月以上経ってメギには葉が生い茂っていました。 そこをじっくり観察すると・・・居ますね。 以前見た赤い病斑とは異なるつぶつぶしたオレンジの突起、これが精子器です。 上述の担子胞子がメギの葉に感染することで起こる初期症状と言えます。


■ 2021年04月18日 撮影

帰宅後にマクロ撮影してみました。オレンジの粒、見えますか?


■ 2021年04月18日 撮影

もっと拡大してみました。この精子器からは精子を含む精子滴が分泌されます。 それをアリなどの生物が舐めることで受精が起き、有性生殖のさび胞子堆へと移行します。 ナシ赤星病菌ではアリだと分かってるんですが、本種は何なんでしょうね?


■ 2021年04月18日 撮影

精子器をスライドガラスに押し付けて油浸対物レンズで観察すると小さい小さい精子が見えました。 自分では動かないので「不動精子」と言うそうで、部分的に内包物を含む長楕円形です。 分生子っぽいなぁと思ったら実際に形成メカニズムは分生子と同じだそうです。 これで今度こそ全ての胞子をコンプリートできたと言えるかな?

■ 2021年05月22日 撮影

目的は他のキノコでしたが、近くまで来たので立ち寄ってみました。 ちょうどメギ側での被害の最盛期だった模様。赤い斑点だらけでした。


■ 2021年05月22日 撮影

表側は赤い斑点にしか見えない病徴部ですが、裏側は大きく肥大してさび胞子堆を形成していました。 状態としては今が一番良さそうです。自分はこのさび胞子世代が一番好きなので、 何かムギと言うよりはメギの病気って言う感覚が抜け切りません。


■ 2021年05月22日 撮影

あぁ〜やっぱりサビキンですなぁ〜!この花が咲いたようなさび胞子堆・・・堪りません。 まぁ植物的にも別の意味で堪らないんですけど、メギ側の被害はこれくらいまでなので良いでしょう。 今からこの周囲のムギ類が酷い目に合うだけですので。

■ 2021年05月22日 撮影

と思ったらもう周囲に影響が出始めていました。これはトボシガラかな? 茎にしっかりと夏胞子堆の黄色い病徴部が出現し始めていました。 しっかりと1サイクルを体感できた貴重な経験となりました。
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