とうとう最終日オフレポです。今回は富士山のブナ林にてキノコ狩り。
と言っても目的は食用キノコではありません。とある冬虫夏草です。
虫草屋のどろんこさんイチオシの美しい種で、私の最大目標でした。
今回は3人とも別の場所での宿泊だったので、朝に現地集合となります。
■3日目
□09:00
途中渋滞が有りましたが無事ほぼ時間通りに待ち合わせ場所に到着。
すでにガガンボさんとどろんこさんは到着していました。無事に合流です。
今回はどろんこさんのお気に入りのフィールド。期待が高まりますね。
どろんこさんの車に先導されて富士山のとあるブナ林帯を目指します。
□09:30
目的地に到着です。ここは巨大なブナ林帯。クマが出る深さですね。
全員探索装備を整えていざ出発。最初は針葉樹林帯を歩いて行きます。

この時期の針葉樹林では良く見かける「猫の舌」ことニカワハリタケ。
良い感じの発生状況だったので3人で撮影したり裏側を撫でたりします。
その後もズンズン歩きますが、思ったよりキノコが目に入って来ません。
この時期の亜高山帯針葉樹林帯ならもっと色々見れそうな気もしますが。
□10:00
しばらく歩くと周囲がブナの原生林に変化しました。ここからが本番です。
目的の倒木ポイントに到着したので、リュックを降ろして探索モードに。
周囲のブナの朽木を舐め回すように調べます。林内はかなり薄暗いですね。
発見はあっと言う間でした。

これぞ目標の冬虫夏草、そして個人的に3日間で最も大きな目標でした。
腐朽材中の甲虫の幼虫を宿主とする冬虫夏草ベニイロクチキムシタケ。
宿主はコメツキムシ科の幼虫。材の比較的浅い場所で死んでいます。
これなんて最初から露出した状態で落ちていたので撮影が超楽でした。
ここからは3人である程度間隔を開けて広葉樹の朽木を調べて歩きます。
発生はブナの倒木のコケが生えていない暗色に腐朽した場所が狙い目。

慣れて来るとどろんこさんは勿論、初見の私やガガンボさんもバンバン発見。
多い場所ではこのように3株も集中して発生しています。大発生じゃないか!

どろんこさんオススメの理由は本種の美しさです。マクロレベルですが。
鮮やかな橙紅色の子実体に半裸生型の微細な子嚢殻が並んでいます。
子嚢殻の透明感が尋常ではなく、光に透かすとまるで宝石のようです。
サナギタケやイモムシタケとはまた違った美しさに魅了されますねぇ。
しかし少し前に見られたと言うクチキツトノミタケが全然見当たりません。
辛うじて2株、未熟と子嚢殻が形成途中の子実体は発見できましたが・・・。
同じ環境で良く見られ、発見しやすい種のはずですが、終わっちゃった?
ここで深く進みすぎて戻ろうとしたらどろんこさんに「逆だ」と怒られました。
しかし戻ってみても肝心の場所に戻れません・・・あれ?これもしかして。
完全に迷いました。
軽く焦る3人。結果として私が行こうとしていた方向が正解でした。オイ!
しかも元の林道に出たのに3人共どっちから来たのかがあいまいです。
何度も道を行き来してやっとこさリュックを負いた場所に戻れました。
ダメですね、我々。
無事元の場所に戻れたので、撮影と採取の時間です。皆各々に動きます。
私は撮影と採取、どろんこさんは周囲を詳しく再調査しています。
撮影が一段落したので、私はふと少し離れた場所に歩いて行きました。
その時でした。

・・・何だあれ?
大きなブナの立ち枯れに何か生えてる?根本の茶色いのは朽木カスか?
胸騒ぎがしました。あれは昔大台ヶ原で似た光景を見た事が有るぞ・・・。
思わず駆け寄りその光景を目の当たりにした私は思わず叫びました。
「ガガンボさーん!!!」 「どろんこさーん!!!」
何事かと2人がこちらに近付いてきました。その顔はすぐに驚愕の表情に!

そこはヌメリツバタケとツキヨタケとトンビマイタケの楽園だったのです!
特にヌメリツバとトンビはこれほどの発生量を見た事がありませんよ!
あまりのインパクトに唖然としましたが、気を取り直して撮影タイムです。
ガガンボさんは魔理沙ねんどろをヌメリツバタケに載せて滑ってました。

どろんこさんは近くのチシオタケの傘をカッターの刃でツンツンしてます。
赤い汁が出るのを見て感動してました。これホントにやりたくなりますね。

大台ヶ原ではほとんど見れず、ロクな写真が撮れなかったツキヨタケも。
良い被写体が多く、撮影が捗りました。黒いシミの観察もできました。
ちなみにこの木にボーベリアに感染したクワガタがしがみついてました。
まだ辛うじて生きていましたが、死ぬのは時間の問題と言った状態でしたね。
やはり感染していてもちゃんと木に掴まっているのですね。勉強になりました。
あ、ちなみに。

ツキヨタケの夜光撮影リベンジ完了!!!
□13:00
楽しすぎて空腹を完全に忘れていました。流石にそろそろお昼にしないと。
今回はどろんこさんオススメのお店に案内して頂ける事になりました。
カメラや三脚を仕舞ってアカモミタケ等を横目に急ぎ駐車場に戻ります。
ここではまたしてもどろんこさんが道を間違えて妙に遠回りするハメに。
ご本人も仰ってましたが凄い方向音痴だそうです。森の中で発動しないで!
とここで問題発生。
道路が大渋滞!!!
しかも渋滞の理由が我々が行こうとしてるお店が有る場所への渋滞の模様。
これでは流石にお昼食って帰るだけになってしまいます。それは避けたい。
と言う事で道中の和食屋さんに飛び込みます。時間外ですがOKとの事!
私は角煮定食、ガガさんは焼肉定食、どろさんは天丼を頂きました。
このお店中々に美味しくて結果オーライも結果オーライ、大満足でした。
ガガンボさんまた焼き肉?
□15:30
曇りも手伝い薄暗くなって来ました。遂に最後の探索場所に到着しました。
ここはブナ林内を走る涸れ沢。ここにも様々な虫草が発生するとの事。
ガガンボさんの帰宅を考えれば17:00にはここを発たないといけません。
時間はあまり残されていません。急いで長靴を履き探索開始です。
ハチタケが良く有る場所とのことですが、時期外れで見付かりません。
どろんこさんが二股のカメムシタケを見付けていました。流石です・・・。
諦めかけていた時。午前中に不作だったアイツが登場!

コメツキムシ科やゴミムシダマシ科の幼虫を宿主とするクチキツトノミタケ!
突き抜き型と呼ばれる長い柄の中程だけに結実部ができる不思議な形状。
先端部が折れたりギロチンしやすかったり不稔で終わったりと散々な種。
子嚢殻がしっかり形成された完璧な子実体を発見する事ができました!
自分も今までは未熟や欠損の子実体しか見付けてなかったので感動です。
帰り際にブナ林帯特有のクチキトサカタケも発見され締めになりましたね。
楽しかった大規模オフも泣いても笑ってもこれで終わり。お別れの時間です。
素晴らしいフィールドを案内して下さったどろんこさんに改めて感謝。
私も2日目に良いフィールドに二人をお連れする事ができて良かったです。
とここで「ガガンボさんは案内してなくね?」とどろんこさんが煽ります。
半ば強制的に今度はガガさんがフィールドを案内するとの約束をしました。
ガガンボさんを駅まで送り届けて私も帰路に。私も無事家に帰りました。
お二人共有難う御座いました!!!
とまぁこんな感じでオフレポは終了です。本当にお疲れ様でしたー!
今回は今までの遠征の中でも最も密度の高いキノコ狩りとなりました。
来年はガガンボさんが地元を案内してくれるだろうと期待しております。
こりゃ私も案内できそうなフィールド探しておかないとダメだなぁ・・・。
それでは擬人化。どろんこさんに脅迫されて描きました。
「Cordyceps roseostromata (ベニイロクチキムシタケ)」擬人化「朽木紅美果」!
読みは「クチキ クミカ」。うん、この手の虫草、苗字全部コレになりそう。
最初デザインが思い浮かばず難産でしたが、ふとデザインが思い付きました。
やっぱ無理して考えてもダメですね。擬人化はひらめき100パーセントですわ。
一番表現したかったのはあの美しい子嚢殻と透明感。絶対外せません。
実際に見た感動だからこそ絶対にこれだけは盛り込もうと思ってました。
宿主表現は意外と服装でしっくり来ましたね。白い菌糸は超苦労しました。
どろんこさーん!どうだー!!!
お眼鏡にかないましたでしょうか?
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>大遠征おつかれさまです!
>イモムシタケからの
>ルリハツ→ソライロ→コウボウフデ
>あたりの調子こき、笑いました。
>
>っていうか紀伊半島からの富士山って流れ、
>どう考えてもオカシイよ(笑) (鳥居 さま)
ありがとうございます。正直3人共頭オカシイって自覚は有りました。
それでもその苦労に見合うだけの収穫が得られたのは本当に良かったです。
鳥居さんの富士山遠征記事見て、懲りずに遠征計画しちゃってますよ・・・。
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